そもそも外字って何?

「外字」って皆さんご存じでしょうか。「あー、あれね」と、知っている人はとてもよく知っているものではないでしょうか。特に仕事でパソコンを使って、人の名前を入力することのある方はきっとご存じかと思います。

簡単に言うと、「外字」とは一般的なパソコンで表示できる文字(文字セット)の中に含まれていない文字で、必要に応じてユーザーが作成して追加する文字のことです。 または「外字ソフト」と呼ばれる、あらかじめ通常のパソコン環境で表示できない文字を集め、インストールすることで追加できる製品としても売られていたりします。

ではどんな時に外字が必要になるのでしょうか。いわゆる難しい漢字、旧字や、古い文献に出てくる特殊な文字などの場合もありますが、最も多いものとしては「人名」を扱うときではないでしょうか。人名の場合、昔まだ公的な記録がデジタル化されていなかった時代の名残で、手書きの戸籍や住民台帳に書かれた文字が一般的な文字と違っていた場合に、そのままその字形で使い続けられてしまったという事情があるようです。

フォント、そして外字のしくみ

ではここで、パソコンにおける外字の仕組みを簡単にご説明します。
ひらがなやカタカナ、漢字など一般的な文字は、文字データのどのコードにどの文字が割り当てられているかが規格として決まっています。日本語フォントでは、いわゆる「JIS漢字コード」というのがこれにあたります。

例えば、Wordなどのソフトウェアを使用し「あ」とか「山」と文字を打ち込んだとき、その文字を表示させるフォント(書体)を変更することで、文字自体は同じでも文字のデザインが変えられるというのがお分かりいただけるかと思います。これは、フォントというものが決められた文字の規格に沿って作られているから、それができるわけです。

さて外字のほうはと言えば、ユーザーや外字ソフトのメーカーが独自に必要な文字を作って登録するものなので、読みなどでは自動的に出てくるようにはなりません。
「あ」のように規格で定義されたコードの部分以外に、任意で割り当てを行い、その文字のコードを使って使用します。この文字コードを割り当てる場所は、「外字領域」「私用領域」などと呼ばれています。特定の文字が定義されていないので、ユーザーが自由に登録して使ってよい場所ですよ、ということなのです。

外字ってどうやって使う?

外字についてなんとなくおわかりいただけたでしょうか。では外字は一体どうやって使うのでしょうか。

まず1つめの方法です。外字イコール定義されていない文字というご説明をしましたが、ということは、外字を自分で用意しなくてはいけません。通常は必要な文字を自分で作って登録し、それを表示できるようにします。Windowsの場合、システムに「外字エディター」という外字作成および設定のためのツールが含まれていますので、それを使います。
「外字エディター」では、外字編集画面で自由に文字を作って、外字領域の任意のコードに登録することができます。作成した外字は、eudc.tteというファイルに登録され、登録した文字コードで呼び出すことができるようになります。
「外字エディター」については、またの機会にご説明します。




2つめの方法ですが、市販されている「外字フォント」とか「外字ソフト」というものを使います。こちらは、製品を提供しているメーカーが独自に文字を作成し、収録しているもので、人名漢字用をはじめ、特定業務用の外字集などもあります。
製品の内容にもよりますが、一般的にこちらはインストールするだけで、数百文字から数千文字の外字が追加され、すぐに使うことができるようになります。イーストの「人名外字」シリーズは、人名用の漢字に特化した外字フォント製品ですので、名簿や人名の入力、表示のために役立ちます。



外字を使うときの注意

外字とは、通常パソコンで入力、表示できない文字を使うための便利な仕組みです。ただし、使うにあたって注意しないといけないことがあります。

まず、外字は基本的に使っているパソコンだけで使えるものなので、外字を打ち込んだ文書やデータを外部に提供して使うことや、別の人のパソコン環境では見ることができません。外字の部分が別の文字に化けてしまったり「・」で表示されたりします。これを防ぐには、表示したいパソコンにも同じ外字を入れる必要があります。同じ会社内などでは、作った外字を共通化したり、同じ外字ソフトを入れるなどして統一するのがよいでしょう。
ただしその場合でも、メールの文章など、外部に送る文書でうっかり使ってしまわないように注意が必要です。

まとめ

パソコンで使える文字については、UnicodeによってJIS漢字の範囲が広がってJIS第一水準、第二水準から、第三第四水準まで使えるようになってきています(JIS X 0213)。
また、IVSと言って元の字の複数のバリエーション(異体字)を使えるようにする仕組みも用意されています。ただし、アプリケーションの対応やフォントの用意など、これらは使うための条件があるため、どのパソコンでも使えるというわけでもありません。

また「外字」というものが、あくまで「例外」と考えると、何万文字集めたとしても、そこに含まれない文字が出てくる可能性というのはゼロではありません。外字を使うことや、代用の文字を使うことも含め、そのときにどうするかを考えておく必要はあると思います。
外字を使うことになった場合、外字利用時のメリット、デメリットをよく理解し、上手に使うことができるとよいですね。

イースト株式会社は、人名外字シリーズと言った外字ソフトを長年販売しており、外字を使うためのノウハウが豊富です。また、入力用の辞書や変換ツールなどの提供も行っておりますので、「外字」でお困りの際は一度ご相談ください。

お問い合わせはコチラ