IPAフォントとは

皆さんは、「IPAmj明朝」をご存じでしょうか?IPAmj明朝は、誰でも無料で使える日本語フォントであり、人名でよく使われる異体字なども含んだ、約6万文字も収録されているものなのです。今回は、そんなIPAmj明朝についてご紹介します。

IPAmj明朝は、IPAフォントの一種です。IPAフォントとは何かと言うと、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) により開発された、いくつかのフォントを指します。これらはオープンソースとして公開されていて、ライセンスに沿った形であれば商用なども含めて利用が可能なものです。

IPAフォントは現在、IPAから一般社団法人 文字情報技術促進協議会に移管されたため、そちらから提供されています。また、その他「窓の杜」といったサイトからも入手が可能です。そのIPAフォントの中で代表的なものが「IPAmj明朝」と呼ばれる、いわゆる明朝体のフォントです。

使える!IPAmj明朝

IPAmj明朝は、2011年10月に公開されたOpenTypeフォントで、文字情報基盤整備事業の、文字情報基盤 文字情報一覧表(MJ文字情報一覧表)にある58,862字の文字が収録されています。

ちなみに、古くからWindowsで使われてきた文字コードの規格、Shift-JIS(シフトジス)では一般的に6,800文字程度が収録されています。また現在主流となっているUnicode対応フォントで実装されたJISコード範囲では、約11,000文字が収録されていますが、それらと比較してもかなりの数の文字数ということがおわかりいただけると思います。これだけの文字を収録したフォントが無料で使えるというのですから、驚きです。

IPAmj明朝の収録文字

では、IPAmj明朝に収録されているのはどのような文字なのでしょうか。 詳細は文字情報技術促進協議会にて公開されている、MJ文字情報一覧表に記載されていますが、主に下記のようなカテゴリーのものです。

・戸籍統一文字 ・住民基本台帳ネットワーク統一文字 ・JIS漢字コード(第一水準、第二水準、第三水準、第四水準) ・変体仮名

これらの文字は、通常のUnicode領域の他、サロゲートペアおよびIVSの部分を含んでいます。サロゲートペアとIVSは使用できる環境(OSおよびアプリケーション)が対応している必要があります。IVSには人名外字でよく使われる文字の異体字(バリエーション)が多く含まれるので、これまで難しかった人名の表示・入力にも役立ちます。

IPAmj明朝の使い方

さて、IPAmj明朝は非常にたくさんの文字を収録していますが、どのように使ったらよいのでしょうか。通常の利用方法はもちろん一般的なフォントと同様です。

ただ、特に異体字や読み方のわからない文字など、あまり一般的でない文字を出そうとした場合、通常のやり方ではうまく入力できない場合があります。IPAmj明朝は、非常に多くの文字を含む反面、文字によっては探し方に難しい面があり、工夫が必要です。

まずは、文字情報技術促進協議会のWebサイトに上述のMJ文字情報一覧表があるので、そちらを参照するのが良いでしょう。また、同サイトには、検索システムも用意されているので、読みや画数の他、各種の文字コードで検索を行うことができます。


また、IPAmj明朝に特化した検索・入力ツールもありますので、そういったものを活用するのもよいでしょう(イースト・IVSパレットMJ など)。こちらのツールも文字情報基盤検索システムと同様の方法による検索ができ、また文字種で色分けされていたり、拡大表示ができたりといった、字形の違いが比べやすくなるメリットもあります。


IVSパレットMJ画面例

IPAmj明朝の今後

IPAフォントは、独立行政法人であるIPAによって作られたことでわかる通り、公共の利益のために作られたフォントと言えます。オープンソースのフォントとしてはかなりの数の収録文字数があり、特にIVSの異体字も多く含まれていることから、人名を扱う業務にも最適です。

戸籍統一文字や住基コードにも準拠していますので、市町村などの自治体における、戸籍や住民票関連の他、各種業務システムでの利用や、そのための普及が今後は期待されるのではないでしょうか。

イーストでは、IPAmj明朝の入力を支援するツール「IVSパレットMJ」をご提供しています。詳しくはお気軽にお問合せください。