下記の画像をご覧ください。

日本語は、最後の文字が一行に収まりきらなくなったら勝手に改行されますが、英語はそうではなく、単語全体が収まらなかったら単語丸ごと次の行に移動しています。
また、日本語の「だ」も一行に収まりそうですが、「。」だけ改行されてもおかしいので、「だ。」ごと次の行に移動していますね。考えてみれば、当たり前のようで、当たり前じゃないことです。
それに、現代の多言語環境では、画面に登場するのは日本語と英語だけではありません。

では、どうやって「どこで改行してよいか」判断しているのでしょうか。

Unicodeの付属書である [UAX #14 (Unicode Line Breaking Algorithm)]は、まずそれぞれの文字に「Line Breakクラス」というクラスを割り当て、どういうクラスとクラスの並びなら改行して良いかを決める、という方法で、この問題を解決するためのアルゴリズムを定義しています。
日本語+英語テキストで特に基本となるクラスは、ざっくり次の4つです。

・ID:漢字やかな
・CL:句読点「、」「。」
・AL:アルファベット
・SP:スペース

そして、これらの組み合わせによって、

・IDとIDの間 → 改行してOK
・ALとALの間 → 改行しない(英単語がちぎれない)
・SPの後 → 改行してOK(英語ではスペースが単語境界)
・CLの前 → 改行しない(「、」「。」が行頭に来ない)

というようにルールを決めています。

もちろん日本語+英語に限っても実際はもっと複雑ですが、多言語でも基本的な発想は同じです。このルールに従ってレンダリングエンジンが改行してよい位置を判断しながら行を組み立てることで、自然な行分割が行われるのです。