こんにちは。開発事業本部チームです。
以前の記事で何度かmicroCMSについて記載しました。
「ブログをmicroCMSにリプレースしました」
「CMS比較」
「コーポレートサイトをmicroCMSとAstroでリニューアルしました」
今回はWebサイト構築のためのCMSとしてではないmicroCMSの活用法について紹介します。
結論
結論から書くと、microCMSはWebサイト管理用のCMSとしてだけでなく、更新が発生する業務データを管理し、APIで各システムへ連携するための「システム基盤」としても活用できます。管理画面やデータ入力画面、APIをゼロから作り込まずに済むため、システム立ち上げまでの期間を短縮し、運用フェーズでも変更・更新の工数を削減できます。特に「お知らせ・FAQ・キャンペーン設定・各種マスタ」など、運用で更新が発生するデータを扱う場面と非常に相性が良いです。
背景
小規模なシステムでも「業務データを安全に管理して、必要な場所へ連携する」ためには、意外と多くの要素が必要になります。たとえば、データの入れ物(DB等)、運用担当者が更新できる管理画面、入力のルール(バリデーション)、権限管理、API、変更履歴の扱い、運用手順などです。
これらを毎回ゼロから用意すると、機能そのものよりも周辺の整備に時間がかかりやすく、また運用開始後の小さな変更でも改修範囲が広がりがちです。
さらに、企画段階~立ち上げ直後は要件が固まりきっていないことが多く、「項目を増やしたい」「ステータスを変えたい」「承認フローを入れたい」「表示先を追加したい」といった変更が頻繁に発生します。このタイミングで管理画面やAPIを自作していると、画面(入力項目)、データ構造、APIの仕様をまとめて見直す必要が出てきます。
microCMSを「API指向の基盤」として見ると嬉しいこと
microCMSをAPI指向の基盤として捉えると、ゼロから「管理画面+データ管理+API」を用意する場合と比べて、特に次の点が優れています。
1.立ち上げが速い(作るものが減る)
microCMSにはデータ入力・更新のための管理画面とAPIが最初から揃っているため、プロジェクト初期に必要な土台づくりを大きく省略することができます。
- 管理画面(入力フォーム)をゼロから開発しなくてよい
- データモデル(項目)を画面上で調整しやすい
- API連携の前提(データの出し入れ)が早い段階で整う
結果として、まずは必要最低限の範囲で運用を開始し、実運用で見えてきた改善を素早く反映しやすくなります。
2.運用が回しやすい
公開後も情報や設定の更新が前提となる仕組みでは、更新のたびに開発者が都度対応する運用になりがちです。運用担当者がルールの範囲内で自走できる体制のほうが、更新作業や改善を継続的に回しやすくなります。microCMSを使うと、例えば次のような運用設計を取りやすくなります。
- 更新担当者が管理画面から直接更新する(結果として開発依存が下がる)
- 下書き・公開といった運用フローを取り入れやすい
- 項目の追加・文言の調整など、軽微な変更を素早く行うことが出来る
3.運用面でのプラス事項
立ち上げ速度や日々の更新性に加えて、運用面でも次のようなメリットがあります。
- 更新ルールが管理画面に集約され、スプレッドシート運用よりも属人化しにくい
- データの更新を「どこで、誰が、何のために」行うかを整理しやすい
- API連携を前提にできるため、Web/アプリ/社内ツールなど複数の利用先に同じデータを展開しやすい
※ここで言う「スプレッドシート運用」とは、ExcelやGoogleスプレッドシートで台帳(マスタ)を管理し、csv受け渡しやコピー&ペーストでシステム側に反映する、といった運用を想定しています。
4.UI/UXの改善に力を入れることが出来る
データ入力・更新のための管理画面とAPIが最初から揃っているため、副次的な効果ですが、UI/UXの改善により多くの時間を割くことが可能となります。具体的には、管理画面を一から作る工数を抑えられる分、利用者が実際に触れるフロント画面の導線設計や表示速度の改善、文言・コンテンツの出し分けなど利用者の体験価値に直結する部分に注力することができます。
典型アーキテクチャ
まずは理解しやすい構成として、「公開データを読むだけ」の用途を想定します。この場合は、利用者(Web/アプリ/社内ツール)がmicroCMSのAPIを直接参照する形がシンプルです。
利用者(Web/アプリ/社内ツール)
↓
microCMS(データ管理・管理画面・コンテンツAPI)
運用担当者はmicroCMSの管理画面データを更新し、利用者側はAPIを通じて常に最新の内容を参照します。この形にしておくと、構成の見通しが良く、立ち上げも速くなります。
ユースケース集
ここでは「公開データを読むだけ」の構成(利用者→microCMS)で始めやすいユースケースを挙げます。
共通する特徴は、
・運用で内容が更新される
・更新頻度はある程度あるが、更新のたびに開発を挟みたくない
・複数の表示先(Web/アプリ等)で同じ情報を使い回したい
といった点です。
1.お知らせ(メンテナンス・障害・重要連絡)
- 目的:最新情報をすぐに出し、必要に応じて取り下げる
- データ例:タイトル、本文、掲載期間、重要度、対象サービス
2.FAQやヘルプ
- 目的:問い合わせ前の自己解決を促し、更新を運用で回す
- データ例:質問、回答、カテゴリ、検索用キーワード、並び順
3.リリースノートや更新履歴
- 目的:利用者への周知と社内の情報共有を一本化する
- データ例:バージョン、変更内容、影響範囲、公開日
4.キャンペーン情報(公開情報のみ)
- 目的:期間限定の訴求内容を運用側で差し替える
- データ例:告知文、期間、対象条件(文面)、注意事項、リンク
5.各種マスタ(店舗・拠点・窓口などの公開情報)
- 目的:複数チャネルで参照する基礎情報を一元管理する
- データ例:名称、住所、営業時間、地図URL、問い合わせ先
注意点・限界
microCMSをAPI指向の基盤として活用する場合でも、すべてをmicroCMSだけで完結できるわけではありません。特に、次の点は事前に整理しておくと安全です。
1.業務ルールが強い処理はmicroCMSの外で
microCMSは「データ管理と配信」を得意とする一方で、複雑な業務ルール(条件分岐、計算、複数データの整合性チェック等)までをmicroCMS側で表現しようとすると運用が難しくなります。
業務ルールが強い場合は、別途アプリケーション用のAPIやバッチを用意し、microCMSは運用担当者が更新するデータの置き場として割り切るほうが長期的に安定しやすくなります。
2.データ品質と運用ルール(誰が何を更新するか)
運用担当者が更新できるようにするほど、入力ルールや責任範囲の設計が重要になります。
- どの項目を誰が更新するか
- 更新のレビューが必要か
- 更新手順や連絡フロー
上記が曖昧な場合、スピードは出ても事故が増えやすくなるため、運用設計は最初に軽くでも決めておくことをおすすめします。
3.大規模なシステムでは前提が変わる
microCMSをAPIのシステム基盤として利用する場合は「運用で更新されるデータを、管理画面付きで素早く配信する」用途に強みがあります。一方で利用者数・アクセス数・連携先が大きくなってくると、次のようなシステム全体の要求が強くなり、microCMSだけで完結させる設計は取りづらくなります。
- 高トラフィックを前提にしたキャッシュ戦略や冗長化、厳しいレスポンス要件
- 複雑な検索・集計・参照整合性(トランザクション)を前提にしたデータ設計
- 大量データの一括更新やバッチ処理、監査・統制の強化
このような場合でもmicroCMSを「公開情報・マスタの配信」など一部の用途として活用しつつ、システムの中核は専用のデータ基盤(DB等)で担う、といった役割分担にすることが現実的です。
まとめ
microCMSはWebサイト更新のためのCMSとしてだけでなく、運用で更新される業務データを管理し、APIで配信するための基盤としても活用できます。ゼロから管理画面やAPIを用意する場合と比べて、立ち上げのスピードが速く、運用フェーズでも変更・更新を回しやすくなる点が大きなメリットです。
このように、イーストではmicroCMSをWebサイト更新のためのCMSとしてだけではなく、API指向の基盤としての提案も行っています。「更新のたびに開発依頼が発生してリードタイムが長くなってしまう」「スプレッドシート管理では最新データや反映状況が追いにくい」「Webとアプリなど複数チャネルへの反映漏れが起きやすい」といったお悩みがある場合は、ぜひご相談ください。
microCMSの詳細はこちら ⇒ https://www.est.co.jp/solution/dev/microcms/

