企業には、顧客情報や契約書、設計資料など、さまざまな重要データが存在します。
しかし、それらすべてを同じように扱っているわけではありません。
例えば、
- 誰でも閲覧してよい資料
- 社内限定の資料
- 特定の担当者だけが扱える機密情報
では、求められる管理レベルが異なります。そのため情報保護では、「これはどのような情報なのか」を整理し、その上で「どのように扱うべきか」を決める必要があります。
Microsoft Purviewによる情報保護も同じ考え方です。
今回は、Microsoft Purviewの代表的な情報保護機能として、秘密度ラベル(Sensitivity Label)とDLP(Data Loss Prevention:データ損失防止)の概要をご紹介します。
Microsoft Purview全体の機能や役割については別記事で解説しています。
「Purviewってそもそも何?」「なぜMicrosoft 365に必要なの?」という方は、先にこちらをご覧ください。
▶「Copilot活用を支えるAIガバナンス - Microsoft Purviewで実現する安全なAI活用-」(後でリンクを貼ります)
分類から始まる情報保護

情報保護というと、アクセス制御や共有制限のような機能をイメージするかもしれません。
しかし、その前に重要なことがあります。
それは、「これは何なのか」を明確にすることです。
ゴミの分別でも、まず「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」を区別するからこそ、正しい捨て方ができます。
情報保護も同じで、適切なルールを適用するためには、情報を分類する必要があります。
まずは、情報の種類や重要度を示す仕組みである「秘密度ラベル」から見ていきましょう。
秘密度ラベルとは
秘密度ラベルは、Microsoft Purviewが提供する情報分類の仕組みです。
ラベルを利用することで、
- この情報は何なのか
- 誰がアクセスできるのか
- どのように扱うべきなのか
を利用者やシステムに示すことができます。
例えば、一般、社内限定、社外秘、極秘といったラベルを定義し、情報の機密性に応じて分類することが可能です。
秘密度ラベルを利用するメリット
秘密度ラベルを利用すると、利用者が情報の重要度を判断しやすくなります。
例えば「社外秘」とラベル付けされたファイルであれば、「外部へ送信してよいのか」「誰と共有してよいのか」を意識しやすくなります。
また、ラベルは単なる目印ではありません。
設定によっては、暗号化、印刷制限、コピー制限、外部共有制限などの保護機能を適用することもできます。
秘密度ラベルを適用できる対象
秘密度ラベルは主に以下のような対象へ適用できます。
- SharePointサイト
- Microsoft Teams
- ファイル
- メール
サイトやTeamsだけではなく、WordやExcel、PowerPointのファイルやメールにも適用できるため、情報そのものに分類情報を持たせることが可能です。
自動ラベル付け
ここで、「大量のファイルに手動でラベルを付けるのは大変そう」と思う方もいるのではないでしょうか。
Microsoft Purviewでは、の機密情報保護機能の1つで、条件に一致した場合に秘密度ラベルを自動的に適用するポリシーがあります。
システムがファイルやメールの内容を確認し、「マイナンバー」「クレジットカード番号」「個人情報」「独自に定義した機密情報」などを検出した場合、自動的に秘密度ラベルを適用できます。
つまり、利用者だけに依存せず、システムによる情報分類を実現できるのです。
DLPとは
秘密度ラベルによって情報を分類できるようになりました。
しかし、分類しただけでは情報漏えいを防ぐことはできません。
例えば、「社外秘」とラベル付けされた資料であっても、人が誤って外部へ共有してしまえば情報は漏れてしまいます。
そこで活用されるのが、DLP(Data Loss Prevention:データ損失防止)です。
DLPは、機密情報や重要情報が意図せず外部へ流出することを防ぐための仕組みです。
DLPができること
Microsoft 365上の情報に対して、
- ユーザーへの警告する
- 管理者へ通知する
- 操作をブロックする
といった制御を行うことができます。
具体的には、
- 個人情報w含むファイルを外部へ共有しようとした
- クレジットカード番号を含む情報を送信しようとした
- 機密文書をTeamsやメールで共有しようとした
といった場合に、警告やブロックを行うことができます。
DLPの価値
DLPの価値は、利用者を監視することでありません。
むしろ、人の注意力だけに依存しないことにあります。
どれだけ教育を実施しても、人はミスをします。だからこそ、気を付ける・注意するだけではなく、警告する・防止する・気づかせるという仕組みが重要になります。
DLPは、ヒューマンエラーによる情報漏えいリスクを減らすための仕組みなのです。
秘密度ラベルとDLPの関係

ここまで紹介してきた秘密度ラベルとDLPは、それぞれ別の機能です。
しかし、実際には組み合わせて利用することで大きな効果を発揮します。
- 秘密度ラベルが情報を分類する
- DLPが情報を保護する
情報保護というと難しく聞こえるかもしれませんが、考え方は非常にシンプルです。
まずは、情報を分類する。そして、その分類結果に応じて、適切なルールを適用する。
今回は秘密度ラベルとDLPを概要をご紹介しましたが、実際には適切なラベル設計やルール設計が重要になります。

