外字を作るには

パソコンで事務仕事をされるかたは、標準の文字で出せない漢字や記号が必要になったときに、「外字」を作った経験のある方は多いのではないでしょうか。
外字を作ったり、活用したりするときに便利な、外字作成ソフトや外字管理システム、ソリューションもいくつかあります。それらは外字を作るための機能が豊富だったり、組織内で使うのに便利な機能があったりします。しかし、多くの場合それなりに費用がかかるのが実情です。

Windows7やそれ以前からパソコンをお使いのかたは、「外字」と言えば「外字エディター」をすぐに思い出されるかもしれません。実際には、外字エディターこそが最もよく使われている外字作成ソフトではないでしょうか。

外字エディターとは

皆さんご存じの通り、外字エディターはWindowsに古くから存在し、スタートメニューの「アクセサリ」のひとつとして呼び出せるアプリケーションでした。Windows標準付属のため無料で手軽に使えるのが特長です。

しかしこの外字エディター、どういうわけかWindows8以降ではスタートメニューに出てこなくなってしまいました。Windows10や11で使うためには、「ファイル名を指定して実行」または検索を利用して、"eudcedit" と入力することで起動することができます。
外字エディターには、外字を作る機能(字形編集および文字コード割当て)の他、Windowsに外字の設定を行って使えるようにする機能があります。

外字エディターの解像度

外字エディターと聞いて、「どうしても出てこない文字があるから使うけど、文字が粗くなってしまうし、あまり品質が良くないんだよね・・・」、そんな風に思ったかた、いらっしゃるのではないかと思います。はい、おっしゃる通り、外字エディターの編集画面を見てみると、標準設定のマス目は64×64ドットなので、確かに出来上がりはあまり期待できなさそうです。ただしこれはあくまで編集時のドットの粗さであって、作成後の外字はマス目のガタガタした輪郭で作られているわけではなく、輪郭をスムーズにつないで滑らかにはしてくれます。


64×64ドットの編集画面

実は外字エディター、この編集画面の解像度を変えることができます。編集時のマス目を64×64から更に多くすることで高精細に、そして輪郭をより滑らかにすることができるのです。最大256×256の大きさにまで変更できます。
これは、Windows内部のレジストリという各種設定情報の変更を行う必要があるので、必要な部分以外に影響が出ないよう、注意深く、かつ自己責任で行う必要があります。また、一度作った外字のデータがある場合、解像度をそれまでのものと変えると、編集画面が表示されなくなりますので、ご注意ください。


256×256ドットの編集画面

外字エディターの編集機能

外字エディターは、古くからあるアプリケーションで、ベクター図形を使った編集は行えませんが、外字を手軽に作成・編集するという目的のために必要十分な機能を備えていると言えます。
外字の編集画面では、いわゆるラスタ画像編集の基本的な描画ツール(フリーハンド、直線・矩形・円描画 等)がありますので、マウス操作などで自由に文字作成・編集が可能です。また、画像を貼り付ける機能もあるので、ビットマップの文字画像しかない場合も活用できる可能性があります。

既存のフォントから文字を編集画面にコピーする機能もあります。元の字から少し異なる文字を作成したい場合は、そちらを使うと簡単に作れます。その他、「参照」機能を使うことで、別の文字から一部分を持ってきて貼り付けたりすることができますので、自分で描画するというより、文字を切り貼りする感覚で外字作成が行えます。一般的にはこれらの機能だけでも、かなり使えるのではないでしょうか。


「参照」画面の例

外字のリンク設定も行える

外字エディターで外字を作成する際、よくあるのが「フォントのリンク」の設定で、「すべてのフォントにリンクする」を選んで作る方法です。こうすると作成した外字は、フォント種類を問わず、外字を出せるようにすることができます。

もう一つが、「指定したフォントにリンクする」というものです。
「すべてのフォントにリンクする」は1種類の外字で度のフォントでも使えるので便利ではありますが、例えば明朝風の外字を作った場合とゴシック風の外字を作った場合では、それぞれ逆のフォントで使ったときにどうしても違和感が出てしまいます。そのため、書体ごとに別々の外字ファイルを指定することで、別のデザインの外字を割り当てることができます。同じ文字で2つのデザインを用意する手間はかかりますが、明朝系・ゴシック系などと大まかに種類別に用意しておくと便利かもしれませんね。

まとめ

外字エディターは、Windowsに付属しているツールではありますが、外字を作る・編集するという目的のためには十分に使えるものではないでしょうか。なお、Unicodeでは私用領域(外字領域)は6400文字ありますが、外字エディターはこの6400字の範囲にコードの割り当てができます。標準字形に追加する外字の数としては十分でしょう。

イーストから提供している「人名外字」シリーズは、高品質な外字フォントの他に、外字エディターで編集可能な形式のものも付属しております。欲しい外字が万一人名外字の収録文字に含まれていない場合も、外字エディターを使って人名外字の後ろなどに追加していただくことができます。
人名外字を外字エディターで使う方法などは、是非イーストまでご相談ください。

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